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SPL Channel One Mk3レビュー



以前にデモ動画を担当させて頂いた、Channel One Mk3について触れてみたいと思います。この動画は国際エンドーサーのデモとしてSPLの本国でも採用されているのですが、サクッと撮影してしまいましたので、画角など課題も多いですが、アマチュア感溢れる動画にどうかお優しい目線で見て頂けると幸いです。

さて、この機材としての所感として、孤高で最先端を行くSPLならではということで、先ずは非常に多彩であることは動画の通りです。真空管のOn/Offまで盛り込まれており、チャンネルストリップとしては限界とも言える機能の盛り込み方で、元々多彩なSPLの機材の臨界点を見たような気分です(笑)。各機能については、マニュアルと動画を併せ持たせて理解を進めて頂ければと思うのですが、恐らくは皆様何と言ってもこの機材の音に対しての所感を書いて欲しいところかと思います。

先ずChannel One Mk3は、120vが採用されていないというところが最も大きい特徴かと思います。120vの搭載/非搭載は、SPL社が『この機材をこういう音にしよう』という前提がかなり色濃く出るところでして、120vが採用されている機材は、良い意味でも悪い意味でもスーパークリーン、限界を超えるようなHi-Fiを求める方は是非120vを積んだ機材へ行っていただきたいと思います。それに比べ、120vモジュールを積んでいない機材に関しては、SPLならではのクリーンさと共に『かっちり感』『固まり感』というものが全面的に押し出されている感じがします。ここは本当に使い分けだと思いますので、理想は120vを積んでいるスーパークリーンの代名詞であり限界値とも言えるCrecendoと、120vを積んでいない今回のChannel One Mk3双方に持ち合わせていることが楽曲制作により華を持たせてくれるかと思います。
今までの作品でも僕の場合は、この辺りの音色感で使う機材を決めていたというところがあります。

例えば、ジョン・キャペックを迎えて制作したエルトン・ジョンのYour Songを、エルトン・ジョンのドラマーとしても著名なチャック・サボを迎えて、実際にドラムを叩いてもらった作品があります。この時僕が使用したドラム向けのサミングミキサーは、Mix Dreamを使用しており、このMix Dreamには120vは採用されていません。



Mix Dream



対して、ギターやストリングスは、120vが採用されているNeosを使用しており、これにはきちんとした理由付けがあり、それぞれに欲しいサウンドを同一曲の中に共存させる施策を取りたかったというものがあります。



Neos



同じ楽曲内でも演出によってサミングミキサーを使い分けるので、実際に音の入り口としてマイクの次に近いマイクプリアンプについては、その用途によって細かくも間違いのない機材を使いところかと思います。



120vを採用した機材と非採用の機材を使い分けた実際の楽曲。



120vテクノロジーを極限まで使いこなした楽曲例。同じくチャック・サボが参加している。



つまりは『良い悪いということではなく、その楽曲・求める音に合っているか合っていないか』
というところに論点を集中させると良いと思います。僕はこの楽曲内のドラムに関しては、恋焦がれた70・80・90年代のエルトン・ジョンを描きたかったところがあります。それには余りに行き過ぎたHi-Fiは似合いませんし、しかもエルトン・ジョン本人の作品に参加しているチャックに叩いてもらえるとなると、何かToo Muchな形で現代を強調しすぎるもの可笑しいかな・・・と思い、今風を味付けするよりも、エルトン・ジョンやチャック・サボのキャリアに敬意を持ってして作品を仕上げたかったので、チャックの音をリアルに捉える方を選択しました。なので、カッチと感を演出できるMix Dreamを選んだということです。
この辺りは本当にケースバイケースだと思いますが、エンドーサーだからというわけではなく、あくまで僕個人がこれまで経験してきたこととして一つ言えることは、SPLを選んでおいたら失敗はないということでしょうか。実際僕はかなりの機材を買い込みましたが、SPLを中心として機材構成を考える点に関しては全く変化がありません。
これは僕がたまたま相性が良かったのかもしれませんが、実際にそれで世界のヒットチャートを駆け巡りましたし、2020年に発表して大成功したART OF RICHARD CLAYDERMANは、正にSPLサウンドの塊です。たまたまでは、ここまで成功できなかったと思いますし、世界的なヒットで僕の名前を世界に知ってもらえるようになった一つのきっかけでもありました。こうした背景があり、先ずは一台SPLを買っておくと良いと言えるのは、ビジネス上のものではなく僕自身が初心者の時代から機材に触れてきた総合的な経験値として言えることでもあります。

ご参考になれば幸いです。


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