大分前に撮影していたSPL Vitalizerの動画が、ようやくアップされましたのでブログでも解説してみたいと思います。
そもそもVitalizerの立ち位置というものが、自分自身使い込んでみるまで良くわからなかったのですが、触ってみれば「ああ、なるほど」と思えるSPLの哲学がありました。昨今の機材の中には、EQやコンプレッサーといった部類にジャンル分けされず、独自のアルゴリズムと呼び名で機能があったりと、個性を強く発揮しないと市場の中で埋没してしまうという傾向があると思います。その個性の源流ともいうべきVitalizerは、1990年代には初代が発売されていましたので、SPLのアイディアが他の機材メーカーへ伝染して行ったと説明した方が良いかと思います。
SPLの場合は、通常のEQもコンプレッサーもラインナップにあるわけで、それを敢えてVitalizerでは楽曲内で必要とされる箇所を全部入りにして機能を圧縮したモデル・・・とでも言いましょうか・・・表現が難しいのですが、SPLの全製品を所有する立場からしても、このVitalizerの魅力というもは良くわかります。
真空管のドライブ量を調整することもできれば、低音の定位をハッキリさせるために用いる Bass Compressor、高音域を輝かせるInstanceまで、その他これ一台でマスターに掛けたい凡その機能は持ち合わせていると言っても良いでしょう。いきなりマスタリング機材を一気に買うことはあまりお勧めできなく、その有用性や可能性を存分に知った後に徐々に機材を増やして行く方向性が良いかと思います。その中の一台として、音の扱い方を知る意味でも本当に良くできた一台だと思います。
また、ミックスバスに掛けるにあたっては、さきほどのご説明でおおよそ網羅されていると思いますが、更にはドラムバスに掛けると非常に良い効果を得られるはずです。昨今のサウンドは、ナチュラルに聴こえる様に極限まで作り込まれます。つまりは、何となく聴いていては何を触っているかわからないほどに、作意の極致ともいうべき作り込みが行われているサウンドが主流です。そうした作意というものが何であるのかを理解する意味でも、先ずは触ってみて欲しい一台です。
各セクションにおける音の変化と、その効果については実際の動画をご覧ください。僕はこのSPLならではのディスクリートAで構成されるサウンドが大好きで、このサウンドの在り方を更に独自の視点で作り変えたのがelysiaです。elysiaのルーベンCEOは、元々はSPLで機材を設計していた人物で、以前共同CEOだったドミニクと組んで独立しelysiaを設立しました。
以前にもいろいろな場所で書きましたが、SPLからelysiaまでは車で30分くらいの距離で、非常に美しいドイツ北西部らしい田園地帯を走ります。僕はこの区間が大好きで、何度も彼らのファクトリーに行っては景色を楽しみました。
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