皆様こんにちは。
さて、最近はライブレコーディングの部門が立ち上がり、本格的に会場でのレコーディングがスタートしたことで、そちら寄りの機材を相当数導入しています。
そんな合間を縫って、何とか導入できたのがBettermakerがリリースしてきた、Mastering EQです。232P MKⅡで既に実績のある同社ですが、CEOのMarekから聞かされていた、そのフィロソフィーたるやかなりのものでしたので、僕としては大いに期待値を膨らませてこの機材の到着を待っていました。
既に幾つかの作品で使用してみましたが、溜息が出るような素晴らしいサウンドを創り上げてきます。特にこれまでの常識を覆した、パッシブとパラレルの同居、更には全てのモードにはM/Sを用いることが出来、これ1台で相当な音作りが可能なはずです。ルーティングについては楽曲ごとに異なるので、一重には言えないところがあるのですが、僕ならば1st EQとして用いるか、若しくは一番最初にコンプレッサーを噛ませて、質感を創り上げた後に、その直下にこのEQを置き積極的に音作りを行うかと思います。
色々な考え方があるかとは思いますが、HPフィルターも含まれていますので、パッシブでブーストした低音側を、HPフィルターで美しく整えていくという手もあります。更には最終弾にもう一つEQを噛ませて、Mastering EQとHPフィルターで創り上げた低音部を、更にブラッシュアップするという手もあるかと思います。
例えばこういう形を取ります。Bettermaker Mastering EQの下にSPL PQを用い、積極的にブーストしたサウンドを、今度は120vテクノロジーを用いるダイナミックレンジの広いPQで受け止め、更にカットやブーストでブラッシュアップするという手法もあります。
この辺りの構成は、かなり進んだ考え方を持ち合わせており、世界の最先端を行く音作りと言ってもよいかと思います。
僕も参加している世界的なマスタリングエンジニアたちの集うFacebookページでは、ガンズ・アンド・ローゼズなどのマスタリングを施しているMaorも、
『俺のも今道中だぜ』
などコメントをくれ、その他には、Bob Katzさんもメッセージをくれ、
『実際に使ってみた感想は?』
などなど、世界中で話題沸騰中という感があります。
『232P MKⅡとの違いは、ほんの僅かだよ』
という欧米のエンジニアもいましたが、いやいや、こいつは本当にものすごいEQで、前作とは別物だと思ったほうが良いかと思います。使用していた当初は、あまり音色を持ち合わせていない機材かと思っていましたが、リズミックな楽曲を手がけたときには、かなりHi-Fiなサウンドを演出してきており、憎いほどの空間美というものも創り上げてきています。この辺りは、クラシック音楽が濃厚な形で文化に染み込んでいる、ヨーロッパが育んだサウンドとも言えるかもしれません。ちなみにBettermakerはポーランドの会社で、ポーランドが生んだスーパースターと言えば、皆様御存知ショパンです。そんな音楽の伝統国が生んだ銘器として、今後長く受け継がれる可能性のある機材かと思います。
ただ一点、ここでお話しておきたいのは、この機材は間違いなく欧米で行われる音作りに置いて、そのトレンドを担うであろうEQです。何度もお話してきていることですが、欧米と日本とは音の作り方がまるで別物のところがあり、このEQをどういう形で日本で活かすのかを見てみたいところもあります。
また、こうした新世代の機材が登場してくることで、国内の音作りにも変化が起こるかもしれないという期待値もあります。
僕の元に送られてくる音源は、正に世界各国ドイツからドバイ、アフリカ、インドまでありとあらゆる国を相手にします。先日は、デビュー間もないミャンマーの少年からマスタリングの依頼を受けました。彼らの話では、僕のマスタリングにおける料金が、彼らの月給にあたるとのことで、内外価格差というものを大きく感じます。
しかし、そうした資本の格差というものがありながら、音楽の質、特に音というものにおいてはまったく劣勢ではないという現状を目の当たりにします。情熱と才能に、資本の力は無力である現状を垣間見るわけですが、俗に言う第三世界のミュージシャンたちが作る音というのは、欧米サウンドを正に追随しており、むしろ日本のみがグローバルのトレンドとは異なる世界観を持っているとも言えるかと思います。
そんなBettermakerが、国内でどのような使い方をされていくのか・・・かなり楽しみに拝見させて頂きたく思っています。
明日レコーディングで朝が物凄く早いので、ここまでにさせて頂きますが、機材やスタジオ構築におけるコンサルティングなど、ご要望がありましたらお声掛け下さい。スタジオも最高に多忙ですが、かなりの量でコンサルティングのお話も頂戴しております。先日は長野県までプライベートホールのプランニングで出張してきました。皆様に、このブログを拝見して頂いているのは、大きな励みになります。
Hiro's Mixing & Mastering / http://www.hirotoshi-furuya.com/shop
(ミキシング・マスタリング、こちらからご依頼ください。)
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