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M/Sモードを搭載する、最強マスタリング・イコライザー mookmook radio #19

僕の運営する、Hiro's Mixing and Mastering Studioは、音源制作やレーベル運営を行うだけでなく、輸入機材の代理店業務も行うようになり随分と多面性が出てきました。今回の機材も、代理店契約を進めている機種の一つです。 ただこの複合的な体制自体は、世界的に見れば極自然の流れと言えます。そもそもスタジオ運営は、レーベルが有り、機材の開発を行い、レコーディングやマスタリングといった音源制作を自前の機材で行い、配給をレコード会社に委託していました。その設計図が最近ではオープンになり、アビーロードスタジオのEMIはじめ、著名スタジオ機材が、Chandler Limitedのような形でライセンス生産を行うようになっています。この流れは、アメリカでは余りメジャーではありませんが、最先端を行くヨーロッパでは通常のこととして捉えられています。まあ、機材メーカー自体が、その殆どをヨーロッパメーカーで占めていますから、開発力からして力の差は歴然です。それを反映するように、スタジオはアメリカよりもヨーロッパのほうが遥かに進んでいて、恐らくは特にドイツが先進性に富んでいるように思えます。また、個々のスタジオが企画する機材が流通しており、隠れた名器として世界中から支持を集めています(日本はどうした。。。ですが・・・)。そんな背景もあり、僕がこの度出会ったのがCustom Audio GermanyのHDE-250A。完全に口コミで、Facebook越しに友人のまた友人と繋がっていき、Steffen Muller(Custom Audio Germanyのオーナー)と知り合うことになりました。元々は、ドイツ人マスタリング・エンジニアのDanと親交があり、彼がHDE-250Aを使用していたことから、Steffenを紹介されたのがきっかけだったと思います。Steffenもプロデューサー・マスタリングエンジニアで、ヨーロッパの第一線からのノウハウが詰まった機材ということになります。Steffenは、元々はPhilips Recordに所属していた人物で、アーティスト活動の後にプロデューサー・マスタリングエンジニアに転身したとのことです。そんなSteffenが作り上げたマスタリング・イコライザーHDE-250を、今回は実演を含めてお話させて頂きました。 色...

IGS Audio 日本総代理店について mookmook radio #18

公開から大分遅れてしまいましたが、ブログの更新も行いたいと思います。 #18から収録方法が変わりまして、スタジオとディレクターさんをオンラインで繋ぎ情報を共有し、収録を行うようになりました。最近の海外レコーディングも同じような方式を取ることが有るのですが、例えばイギリスのスタジオとうちのスタジオを繋いで、セッションを聴きながら意見を出していき楽曲を完成させるなどということもあります。わざわざ海外渡航をしなくても、これで十分なことも多々あります。その変形版として、「ラジオも出来るんじゃない?」ということでやってみたら、これが結構大当たりで、ノリノリでマニアック感漂うお話になりました。 さて今回の番組内で、僕が友人のSjefが撮影している動画内で 、「ああ、いいなぁ~~~」と絶賛している機材が、IGS AudioのRuberband 500という機種です。 兎に角、動画を見ていて素晴らしかったので、既にうちのスタジオにあるんですが(笑)。。。真ん中の青い機種で、凄くしなやかで昨今の機材だとHi-Fiになりすぎてしまうサウンド感を、アナログ機材らしく上手く纏め上げてくれます。落ち着いた、ステキ~な音へと生まれ変わらせてくれるので、今のところは、SSL XL-DESKのMaster Comp Functionにインサートしています。本当はSSLのBus Compがそこに居るんじゃないの?とご質問を頂きそうですが、ミキシングからそのままダイレクトにマスタリングセクションに入り、それはもう拘りに拘ったマスタリング・ギアたちが待っていますので、ここでBus Compを掛ける必要性がないんですね。ミックス段階で目指すのは、VUが7掛けくらいで振れる程度のダイナミックレンジが大きく確保された音源です。このセクションでバウンスもしませんし、M/S処理も基本的にはしません。マスタリングで劇的に音圧が上がるので、敢えてミキシングでトリッキーなことをしないほうが得策だというのが、今のところの僕の結論です。ハードギアだと、デジタルでは考えられないほどに自由度が高く、マキマイザーなどのプラグインで嵩上げされた音圧とは異なり、圧倒的な迫力と奥行きが確保された音源に仕上がります。その一段手前にインサートするのであれば、拘ったEQだろうということで、今はRuberband50...

世界のプロデューサー,エンジニア,スタジオとともに mookmook radio #17

mookmook radio#17が公開されました。帰国して早々の収録で、時差ボケが強い中でしたのでしたので、かなり噛み噛みでお話しております(元々、噛む癖はありましたが、更に今回はその傾向が強いような・・・)。 さて、#17ではその海外での活動を中心にお話させて頂いております。スタジオワークというだけでも、少し遠い存在になりがちなのですが、それがアメリカやイギリスということになると、更に遠くなってしまうイメージを持たれるかもしれません。そのあたりを、今回はもう少し身近に感じて頂けるようにお話してみました。海外でのスタジオワーク経験という意味で、今回もレコーディング・エンジニアの大谷さんにお話を伺いながら、実際の体験を通して欧米人との関わり方やサウンドメイキングについて言及してみました。 これまでも、色々なアーティストやプロデューサーと仕事をしてきたのですが、直近で最もホットで情熱を注げる仕事の一つに、Sefi Carmel との仕事があります。彼とある作品を共作することとなり、僕はプロデューサーと歌で参加します。Sefiはイギリス人ですが、ハリウッド映画でその名を多く見ることが出来ます。また、ローリング・ストーンズ、デイビッド・ボーイやビービー・キングなどのビッグネームの仕事でも、彼の手腕を見ることが出来ます。 僕が最も驚いたのは、小学生の頃に見たE.Tでの仕事ぶりした。まさかE.Tのサウンドメイキングをした人と、今になって仕事を共にするとは夢にも思わず、今後自分の進む道を更に明確な形で示してくれたように思えました。Sefiから、僕の仕事についての査定をしたいとの連絡が入ったときには、それはもう最大限の緊張状態で音源を送り、返信にGood Jobの文字が見えたときには、それは嬉しいものが有りました。彼らくらいのキャリアになると、仕事を一緒にするのか否か?またギャランティにおける交渉も含めて、全てこちら側のスキル次第のところがあり、音源提出というものは僕達にとって可能性を大きく飛躍させられるのか、若しくはこれ以上のものは望めないのかを決める決定打になります。どの音源を送るかを悩み、最初はマスタリングだけを頼まれたニューヨーカーの音源や、ミキシングから関わったもの、その他いろいろ考えましたが、再度精査してみて結局自分で歌った楽曲を送りました。それで、今...

マスタリング・コンソールについて mookmook radio #16

お陰様で、凄く凄く多忙な日々が続いています。 バークリー音楽大学は、再来月で一先ずの単位が取得できて区切りがつきますが、日本に入ってこないテクニックや音楽事情を知れるということと、活動の場を世界市場に移しつつあるので、Masterまで取得できるように頑張ろう・・・と、思ってしまった次第です。ですので、さらに学生生活も続きます。。。そうこうしているうちに、ヨーロッパのパートナーたちとも着々と関係を築くことができています。今回ラジオの中でも扱わせて頂いていますが、印象的なのが  elysia ・ SPL  などのドイツ勢と、Leif Mases率いる Maselec との関係です。現在のマスタリングを考慮するときに、世界の最前線のサウンドテクノロジーを作り上げているメーカー達で、日本では今一つメジャーではないですが、ヨーロッパとアメリカの最前線では最も愛されているメーカー達です。アメリカの最前線と書いたのは、やはりヨーロッパ対アメリカの威信を掛けた睨み合いは感じざるを得ず、アメリカのマスタリングスタジオでは、国産であるDangerous Musicを導入しようという動きも見て取れます。しかし、最前線になればなるほど、アメリカ人たちの間でもヨーロッパ製を導入する動きは強く見られ、開発力の素晴らしさを改めて感じています。 さて、ラジオはすっかりお馴染みのレコーディングエンジニア、 ミュージックプラント の大谷さんをお迎えして、日本のスタジオ事情だけでは中々知ることのない、ディープな世界をお届け致しております。 さて、番組が始まってから早々に登場する、Leif Mases ですが彼の業績は以下リンクをご覧ください。 https://www.discogs.com/artist/272002-Leif-Mases まあ、まさに生きるレジェンドで、僕の今お付き合いのあるメーカーさん達は、Leifのコンサルティングが入る機材群ということで、誰もが「光栄だ」と言ってくれるほどの人物です。これは偏に、何時もお世話になっているロンドンのTomのお陰なのですが、こんな出会いを頂くこともできました。そして、7.1chのサラウンドシステムを組むことで、フィンランドの敏腕プロデューサー兼マスタリングエンジニアのHenkka Niemistoに相談し、Amphio...

Solid State Logic XL-DESK with elysia レビュー

erysia導入。その② 前回のレビューより、大分時間が経過してしまった。 経過してしまったというよりは、スタジオが本格稼働するにあたり、関連機材の導入からセッティング、そして実際に音を出して、クライアントや僕自身の要求に即座に応えて貰うために必要な期間であった。色々と熟慮したが、elysiaの全ての機材はSSL XL-DESKのスロットにセットアップして使用することとした。XL-DESKは、SSL最新の機材ということもあり、近年のHi-Fiなハイサンプリングレートのサウンドを作り上げる意味では、正に適材と言える。バークリー音楽大学には、Dualityが存在しており、レコーディングセッションの課題が出た折には自由に使うことも出来る。日本国内に最も導入されている4000シリーズもさることながら、Dualityに至っても設計思想の古さを感じざるを得ないと再確認させられる。SSL標準搭載であるG-Compressorは、本国イギリスであろうとアメリカであろうと、今も神話的な扱いを受けているが、僕にはどうしても思想の古さを感じさせる。それは、チャンネルストリップのEQであれCompressorであれ、兎に角世界で現在最新とされる音源を制作するには、余り向いていないと肌身で感じるようになった。近年のHi-Fiと表現される世界のスタンダードは、単純に言えば楽器そのものの音色をダイレクトにレコーディングし、倍音から異音に至るまで、音色をそのままの状態で如何にクリアな形でパッキング出来るかが問われているように思える。バークリーのお陰で、アメリカ・イギリスは勿論、最近ではドイツやオーストリア、スウェーデンなどのスタジオとも付き合いが出始めた。彼らから送られてくる参考音源や、Facebook上で情報交換を行ううちに、彼らの作る音色は全く別次元にあること、加えて最近ではマスタリングスタジオが機材のメーカーとして販売までを手掛けるようになり始めた。欧米のエンジニア達は、基本スタンスが日本とは全く異なる。自らが演奏家であることが殆どであり、プロとして音楽経験のない者がレコーディングセッションを纏めることは余りない。自ら演奏をするのだから、楽器の音は最も身近な形で知っているだろうし、その後のレコーディングされた楽曲をミックスやマスタリングで纏めていくにしても、演奏している楽器の...

elysia / xpressor, nvelope, xfiter, karakter レビュー

elysia導入。その① 近年の音楽制作において、様々な模索をし膨大な時間と労力をスタジオワークに注いできた。演奏家として自らのスタイルを確立していく中で、追い求めるサウンドの理想はしっかりと見えていながら、中々先行きの見えない手探り状態が長く続いた。その理由の一つとして、自らが求めるサウンド感が日本国内には存在していなかったこと、そしてその実現に向けて世界に目を向けたところで、膨大な量の情報が集まる中での模索は困難を極めた。 『著名な欧米人エンジニアに仕事を頼んだが、自らのプロフィール写真はアウトボードばかり写っているが、実際のところはプラグインが相当量使用されていた。』 などの情報も混在し、メジャーどころのプラグインは一通り試してみた。しかし一聴すると良いと思えるものも、突き詰めれば突き詰めるほどに、またハイレゾリューション・オーディオを意識したサウンド感を生み出そうとすればするほど、必ずと言って良いほど、完成した音源は破綻をきたしていた。滑らかに曲線を描くはずであった弦楽器の音色は、デジタル処理されたプラグインにスポイルされ立体感を失い、幾通りにも重ねられたプラグインは、拘りこそ感じられるが最終的な理想とする仕上がりには程遠い。一体何がこうさせているのかを模索しても、デジタル処理の限界を超えられることはなく、特に奥行きと幅を求められるアコースティック楽器を主流とした音作りには工面させられた。何百時間、何千時間とスタジオで音色を求めようとも、回答は結局のところ得られなかった。 しかし、転機が驚くところで与えられた。 文化庁からの招聘で、学校コンサートを依頼された折、校歌を歌って欲しいとのことでCDを渡された。 『ICレコーダーか何かで録ったのかな・・・』 という程度に受け止めていたが、仕事に向かう道中カーステレオから流れてきたその校歌に驚かされた。内容としてはシンセサイザーの打ち込みとコーラスで構成されていたが、明らかに幅と奥行きが存在していた。自らが持ち合わせていた先入観に等しい、『学校の校歌にそこまでの予算をかけることはないだろう』という考えがサウンド側から覆され、校歌というシンプルな音楽の上に立った時、それがコンソール経由で制作されたことがクレジットからも読み取れ、またその校歌自体はSSLやNeveほど高価なコンソールを使用していない...

ProTools HDX...ではなく、RME HDSPe RayDAT

ここ最近スタジオに詰めていることが多く、制作現場で様々に機材のアップグレードも含めて新体験をします。ここ数年ずっと疑問に思っていた、オーディオインターフェイスの性能。プロ機材もUSBが主流になっていますが、トラック数や外部ボード機材の増加(バス数の増加)、そして高性能プラグインが50個くらいとなると、2年経過するか否かのCOREi7CPUがパンパンでProToolsが動かなくなります。動いてもバッファサイズを大きく設定しなければならなく、レイテンシーが酷すぎて話にならない・・・声や楽器録りの返し、オートメーションがこれではどうにもならない。。。 やはりPCI Expressのインターフェイスだよな・・・と考えていた所、お気にい入りのRME社のPCIeインターフェイスを発見。ただ、国内のスタジオでは若干マイナーで、Pro Tools HDXに手を出すか否か・・・と考慮の末、デモ機をお借りして、目から鱗とは正にこの事!!! 見事にDSPパワーでCPUに負担はかからず、多くのトラックとプラグインを挿してなんとバッファイサイズは64(通常USBならば512)。レイテンシー0は勿論、ただでさえクリアなRMEのサウンドに、更にパンチが加わった雰囲気です。大手スタジオで聴く、ProToolsサウンドと共に、RMEが得意とするクリアな楽音が盛り込まれたような音がしています。  これまでに、大手スタジオとホームスタジオでは、あまりに大きな隔たりを感じており、Genelecの1030やRME UFXを数台導入するなど、なるべくその差異を減らすよう努力してきましたが、如何にせよProToolsをDSPで動かすHDXには、出音や性能面で叶わないと感じていました。結果、最近ではHDXを導入する動きも出ていましたが、僕の場合アコースティック楽器を中心にレコーディングする手前、RMEが圧倒的に相性が良いと思っていました。 そして真の意味でソリューションとなりえるか否かをかけて、RayDATを借りてみましたが、ここまで大ホームランをかっ飛ばしてくれた機材は近年なかったかもしれません。それくらいに素晴らしい出来です。UFX2台をADコンバーターとして使用し、RayDATをオーディオインターフェイスとして使用する。DSPならではの安定感といい音質といい、ここ数年間探し求めて...