僕の運営する、Hiro's Mixing and Mastering Studioは、音源制作やレーベル運営を行うだけでなく、輸入機材の代理店業務も行うようになり随分と多面性が出てきました。今回の機材も、代理店契約を進めている機種の一つです。
ただこの複合的な体制自体は、世界的に見れば極自然の流れと言えます。そもそもスタジオ運営は、レーベルが有り、機材の開発を行い、レコーディングやマスタリングといった音源制作を自前の機材で行い、配給をレコード会社に委託していました。その設計図が最近ではオープンになり、アビーロードスタジオのEMIはじめ、著名スタジオ機材が、Chandler Limitedのような形でライセンス生産を行うようになっています。この流れは、アメリカでは余りメジャーではありませんが、最先端を行くヨーロッパでは通常のこととして捉えられています。まあ、機材メーカー自体が、その殆どをヨーロッパメーカーで占めていますから、開発力からして力の差は歴然です。それを反映するように、スタジオはアメリカよりもヨーロッパのほうが遥かに進んでいて、恐らくは特にドイツが先進性に富んでいるように思えます。また、個々のスタジオが企画する機材が流通しており、隠れた名器として世界中から支持を集めています(日本はどうした。。。ですが・・・)。そんな背景もあり、僕がこの度出会ったのがCustom Audio GermanyのHDE-250A。完全に口コミで、Facebook越しに友人のまた友人と繋がっていき、Steffen Muller(Custom Audio Germanyのオーナー)と知り合うことになりました。元々は、ドイツ人マスタリング・エンジニアのDanと親交があり、彼がHDE-250Aを使用していたことから、Steffenを紹介されたのがきっかけだったと思います。Steffenもプロデューサー・マスタリングエンジニアで、ヨーロッパの第一線からのノウハウが詰まった機材ということになります。Steffenは、元々はPhilips Recordに所属していた人物で、アーティスト活動の後にプロデューサー・マスタリングエンジニアに転身したとのことです。そんなSteffenが作り上げたマスタリング・イコライザーHDE-250を、今回は実演を含めてお話させて頂きました。
色々お話と実演をさせて頂きましたが、実際の機材はこういう感じです。
マスタリング段にインサートさせる以外には、ミックスバスに挿すことも考えられると思います。あくまでマスタリンググレードなので、ジェントルにもトリッキーにも変化する変幻自在の機材ですから、どうにでも楽曲を仕上げられてしまうと思います。注意したいのは、音がシルキーなのでBoostし過ぎてしまい、知らずに楽曲構成がメチャクチャにならないことでしょうか。また、スペクトラムアナライザーも必須です。欧米の曲ではよくあるのですが、トータルのPeakは越えていなくても、低音側のPeakのみ超えてしまうという現象が発生します。これは掛かりの良いEQを使用しているとよくあることですし、楽曲のレンジ幅と声部のメリハリを確保しようとすると、自ずとBassがPeakを越えてしまうことがあります。Master BussにLimitterやLoudness Materを掛けているから安心と思うと、思わぬところで落とし穴が発生します。以前放映されたとある番組で、ラウドネス・ペナルティーを受けて驚いたことが有るのは、正に低音のPeakが原因でした。1970年台の楽曲よりも、音量を下げられてしまったという、苦い経験が有ります。まあ、これらは使用する側のスキルと、きちんと仕組みを理解していれば何ら問題にはならないはずなのですが、余りにシルキーに上がっていくBoost故に、思わぬ勘違いを生んでしまうという一例になるかと思います(そもそも、最終マスタリングは、パッケージ用、放映用、PV用、その他諸々のバージョンを作るのが王道かと思いますが(笑))。またCutは、Pluginで良いと思います。勿論Cutもできますが、この美しきサウンドを使い切るであれば、Boost側かな・・・と思います。
加えてなのですが、僕の勝手なコダワリからすると、M/Sを使用するのであれば、別のEQでL/R直球勝負のEQを入れるべきだと思います。それぞれにアルゴリズムが全く別物なので、どの段階でどのEQを使用するかを楽曲ごとに吟味して、使い分けるべきではないかと思っています。また、もう一つのLogicを用いるのであれば、Pultech EQを挿すことを考える要素もあるかと思います。僕は現在のところ、L/R, M/S, Pltech,それぞれのEQが得意としている箇所を活かして、それぞれに活躍して貰っています。どうもストリングスセクションが、ごっちゃになっているですとか、Stereo Imageに幅がないという場合などには、複数のEQで攻めていくことも一つの手かと思います。
今回のHDE-250Aを、僕の場合はL/R,M/Sそれぞれに、使い分けて楽曲構成を行っています。でもやはり、どうしてもM/Sのハードギアという括りで考えると、そのアドバンテージは否めなく、思わず使用したくなる機能であることは確かです。
Official Website / http://www.hirotoshi-furuya.com
(お仕事のご依頼や、機材のお問い合わせは、オフィシャルサイトよりお願いします。)
Official Facebook Page / https://www.facebook.com/hirotoshifuruya.official/
Radio Personality『マエストロ古屋博敏のサウンド物語』/ http://mookmookradio.com/a0004/
(ご質問、ご相談などコメントから投稿下さい。番組内でお答えします。)
ただこの複合的な体制自体は、世界的に見れば極自然の流れと言えます。そもそもスタジオ運営は、レーベルが有り、機材の開発を行い、レコーディングやマスタリングといった音源制作を自前の機材で行い、配給をレコード会社に委託していました。その設計図が最近ではオープンになり、アビーロードスタジオのEMIはじめ、著名スタジオ機材が、Chandler Limitedのような形でライセンス生産を行うようになっています。この流れは、アメリカでは余りメジャーではありませんが、最先端を行くヨーロッパでは通常のこととして捉えられています。まあ、機材メーカー自体が、その殆どをヨーロッパメーカーで占めていますから、開発力からして力の差は歴然です。それを反映するように、スタジオはアメリカよりもヨーロッパのほうが遥かに進んでいて、恐らくは特にドイツが先進性に富んでいるように思えます。また、個々のスタジオが企画する機材が流通しており、隠れた名器として世界中から支持を集めています(日本はどうした。。。ですが・・・)。そんな背景もあり、僕がこの度出会ったのがCustom Audio GermanyのHDE-250A。完全に口コミで、Facebook越しに友人のまた友人と繋がっていき、Steffen Muller(Custom Audio Germanyのオーナー)と知り合うことになりました。元々は、ドイツ人マスタリング・エンジニアのDanと親交があり、彼がHDE-250Aを使用していたことから、Steffenを紹介されたのがきっかけだったと思います。Steffenもプロデューサー・マスタリングエンジニアで、ヨーロッパの第一線からのノウハウが詰まった機材ということになります。Steffenは、元々はPhilips Recordに所属していた人物で、アーティスト活動の後にプロデューサー・マスタリングエンジニアに転身したとのことです。そんなSteffenが作り上げたマスタリング・イコライザーHDE-250を、今回は実演を含めてお話させて頂きました。
色々お話と実演をさせて頂きましたが、実際の機材はこういう感じです。
音は勿論美しいのですが、外見も逸品の機材です。
取り敢えず、今現在マスタリング用のイコライザーとしては、最新のアルゴリズムを持っている音かと思いますし、M/Sモードを備えているEQは世界広しどそうはありません。もっとも、ステレオからM/Sへ変換できるコンバーターは幾つか有るので、それを使えば良いとの考え方もありますが、基本的にコンバーターは使わない、フレッシュな音で勝負しようとすると、TK AudioのTK Lizerくらいしか思いつきません。今回のHDE-250を導入するにあたり、TK Lizerも選択肢に入っていたのですが、サウンドを思い切って激変させるパワーや、楽曲を際立たせる美しさということであれば、ちょっと見劣りしてしまいHDE-250を導入しました。マスタリング段にインサートさせる以外には、ミックスバスに挿すことも考えられると思います。あくまでマスタリンググレードなので、ジェントルにもトリッキーにも変化する変幻自在の機材ですから、どうにでも楽曲を仕上げられてしまうと思います。注意したいのは、音がシルキーなのでBoostし過ぎてしまい、知らずに楽曲構成がメチャクチャにならないことでしょうか。また、スペクトラムアナライザーも必須です。欧米の曲ではよくあるのですが、トータルのPeakは越えていなくても、低音側のPeakのみ超えてしまうという現象が発生します。これは掛かりの良いEQを使用しているとよくあることですし、楽曲のレンジ幅と声部のメリハリを確保しようとすると、自ずとBassがPeakを越えてしまうことがあります。Master BussにLimitterやLoudness Materを掛けているから安心と思うと、思わぬところで落とし穴が発生します。以前放映されたとある番組で、ラウドネス・ペナルティーを受けて驚いたことが有るのは、正に低音のPeakが原因でした。1970年台の楽曲よりも、音量を下げられてしまったという、苦い経験が有ります。まあ、これらは使用する側のスキルと、きちんと仕組みを理解していれば何ら問題にはならないはずなのですが、余りにシルキーに上がっていくBoost故に、思わぬ勘違いを生んでしまうという一例になるかと思います(そもそも、最終マスタリングは、パッケージ用、放映用、PV用、その他諸々のバージョンを作るのが王道かと思いますが(笑))。またCutは、Pluginで良いと思います。勿論Cutもできますが、この美しきサウンドを使い切るであれば、Boost側かな・・・と思います。
加えてなのですが、僕の勝手なコダワリからすると、M/Sを使用するのであれば、別のEQでL/R直球勝負のEQを入れるべきだと思います。それぞれにアルゴリズムが全く別物なので、どの段階でどのEQを使用するかを楽曲ごとに吟味して、使い分けるべきではないかと思っています。また、もう一つのLogicを用いるのであれば、Pultech EQを挿すことを考える要素もあるかと思います。僕は現在のところ、L/R, M/S, Pltech,それぞれのEQが得意としている箇所を活かして、それぞれに活躍して貰っています。どうもストリングスセクションが、ごっちゃになっているですとか、Stereo Imageに幅がないという場合などには、複数のEQで攻めていくことも一つの手かと思います。
今回のHDE-250Aを、僕の場合はL/R,M/Sそれぞれに、使い分けて楽曲構成を行っています。でもやはり、どうしてもM/Sのハードギアという括りで考えると、そのアドバンテージは否めなく、思わず使用したくなる機能であることは確かです。
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(お仕事のご依頼や、機材のお問い合わせは、オフィシャルサイトよりお願いします。)
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