今回も、公式のメーカーサイトには書くことの出来ない、独自のレビューという事で個人ブログへ書き込ませて頂きます。今回のお題は、『IGS Audio ONE LA500 Toneflake Customモデル 』です。身内びいきとも捉えれてしまう文面になるかと思いますが、多少の違和感についてはどうかご容赦ください。ただ、『この音ありき』でお話をしますので、余り誤魔化しや誇張された表現は用いていないと思っています。自分自身が真剣勝負で世界の楽曲を制作する折に用いている感性と技術を前提とし、果たして機材が良いか悪いかを絶対評価にてお話させて頂いています。そもそもアーティスト出身ですから、ビジネスよりも先に『機材好き』という背景がありますし、使えない物については毅然とした態度をとってきているかと思います。そんな心構えでおりますので、何卒宜しくお願い致します。
さて、IGS AudioのONE LA500と言えば、今や大人気の機材でして、市場から一定の評価を頂くところまで成長してくることが出来ました。このIGS Audioを日本に最初に持ち込んだのが僕だったのですが、当初は国際エンドーサーに指名してもらい、そこから国内の代理店も並行させるという形態から出発しています。基本的には僕のスタンスというものがどのメーカーであれ、国際エンドーサー⇒代理店活動というビジネスプロセスを踏んでおり、最初はプロデューサー兼エンジニアとしてメーカーが認識したところが起源という所で、一般的な輸入代理店とは一線を画しているかと思います。
そんなONE LA500ですが、制作の折にはもっぱらノーマルバージョンはベースやギターに使用していたのを思い出します。タイトに変化させたいベースやギターに、真空管のドライブも加わり魅力的なサウンドに仕上げることが出来てていました。丁度IGS Audioのエンドーサーになったころ、マスタリングだけでなくミキシングの仕事にも本格的な形で参入した折で、その単純明快な操作と共に快いエフェクトに魅了されていました。
そして今回Toneflake Customモデルが出るという事で、基本完成度の高いONE LAをどう弄るのかを非常に楽しみにしていました。上記のデモ動画は僕の操作によるものなのですが、ほぼ一発撮りでエフェクトを掛けてみたので感動も一入でした。音を聴いて頂ければもうお分かりなのですが、品良く纏めて行くことの出来るONE LA500に対して、Customモデルはかなり強烈な印象を受けます。まず驚くのはサウンドの太さで、ベースなど余りの変わりようにノブを大胆に弄る僕が臆しているくらいです。またKneeの角度もかなりきつめに感じることが出来、ドラム特にスネアやキックには非常に使いやすい印象を受けました。真空管のサチュレーションも加わることで、独特のコンプレッションがエフェクターとしての役割を存分に果たし、ノーマルでは感じられないハイテンションなサウンドを楽しめます。
またギターにおいては、これまでインプレッシブな印象を与えるCustomバージョンでしたが、その表情を一気に変え、急に研ぎ澄まされた美しく磨き抜かれたサウンドを演出しており、使用者側のスキルとアイディアで多くの表情を楽曲に与えることが出来ると感じました。
理論破綻を防ぐため、一応自社開発しているFinalEffectと如何に使い分け、それぞれのポジションを取らせるのか?という個所にも触れておきたいのですが、FinalEffectは確実にハードギアと同等か、それ以上の効きを保証できる代物です。価格も$150と非常に手を出しやすい設定が既に決まっており(今後$250の製品も出てきますが)、ハードギアに比べると格段に導入しやすく使い勝手も単純です。そして何より、実機の回路を通さないで効きが強いわけですから、究極的なクリーンサウンドとオリジナルのミキシングに対してピュアなサウンドエフェクトを実現できます。この極限のピュアサウンドというものは、ハードギアでは絶対に実現できないものと確信しています。しかし、回路を通したが故の多くの要素を含むサウンドというものは、逆にプラグインでは決して実現できないもので、独特のサチュレーションなどをシュミレーションすることなどナンセンスそのものです。これは完全に使い分けの世界であり、『何を楽曲で求めたいのか?』という自己欲求がどの方向に向いていて、曲をどう仕上げたいのか?というゴールを何に設定するか次第かと思います。
プラグインも次世代型となり、2000年代初頭から始まったサードパーティー製品の音が、遂に更新される時代が来たと感じています。その主導を握り、世界最先端のテクノロジーというトンネルの中で更にその先端を掘るような作業を進めているのがA&Mグループです。そんな世界最先端を肌身で感じるからこそ、真空管などの独特のサチュレーションをシュミレーションしようなどとは一切思いません。それは真空管ならではのオリジナルサウンドであり、デジタルでどう真似ようが到底不可能な領域です。回路を持ち、真空管を通過したサウンドはフィジカルを持つがこそのサウンドを創り上げ、更に次世代型のプラグインは究極的なスーパークリーンで楽曲を彩る。そんな住み分けが今後の音楽制作では必要となり、このハイブリット型の考え方を前提とし、自らの楽曲をリストラクチャリング出来る思考の持ち主が時代を牽引できるのではないかと考えています。
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