スキップしてメイン コンテンツに移動

スタジオデスクについて mookmook radio#29

皆様こんにちは。
今年は色々と大きな波が自分に押し寄せています。夏にETやハリーポッターなどの映画音楽を手がける、セフィー・カーメルと仕事をする機会を与えられ、随分と自分の中でも前進できた感がありました。
そして、年末に差し掛かりハーバード・ビジネス・スクールを受験し、まさかの合格通知を受け取ることが出来ました。あちこちでこの件についてお聞きいただきましたが、当の本人が一番信じられない状況でして、未だに現実として受け止められていません。
あとは、来年から始まる授業を、一つ一つ確実にこなして修了できるように心がけたいと思います。巷で言われることですが、アメリカの大学は入学以上に卒業が大変だというのは本当です。落第するなんて当たり前・・・なので、気合を入れていきたいと思います。
さて、近況はこのくらいにしまして、今回はスタジオデスクについてお話してみたいと思います。


mookmook radio#29
http://sound-monogatari.mookmookradio.com/podcast/29/


スタジオデスクというのは、スタジオ設立初期の頃に憧れを持つものですが、最も投資先としては遅れをとるものでもあります。結構高くて機材を他に買える可能性があるのに、敢えてデスクに行こうとするのは、勇気が入ります。
散々悩み、世界中の情報を集め、自分のスタジオのサイズに合い、そしてインテリアとしても素敵なのはどれ・・・と1年間迷った挙句の解答は、ドイツのSessiondeskでした。なんか僕は、機材メーカーも含めてドイツと相性がいい・・・SPL,elysiaもドイツだし、好きになるメーカーは何故かドイツ。そして意気投合して、エンドサーにまでなってしまった・・・という感じです。


これが、今回導入したマスタリング・デスクです。この手のデスクは、普通に考えればメリットは山ほどあるわけでして、一番顕著なものとしては耳を大きく動かさなくても、各セクションの機材を調節できることかと思います。また、上手く配置すればスピーカーからの距離も保て、遮るものも少なくなるので、音に干渉しない機材配置が可能です。収納やカッコよさは、業務用途となると、必要最低限でもいいので、敢えて列挙するものではないかと思います。
むしろ僕が最も驚いたのは、デスク自体の音でした。最初は勘違いや環境が変化したが故の、フレッシュな思い込みだと思いました。しかし、どう聴いていていも違うし、何とも音場が捉えやすい感覚です。ルームチューニングも数か月前に行ったので、フェーズを感じることは勿論無いのですが、そういった実際的な音の帯域がこういう感じで、理論上こうなる・・・という以上の音色の違いを感じられました。この理論上というのも、単に僕がそちらの方に明るくないだけで、こうしたデスクを設計する折には、音響はかなり力を入れて設計するのだそうです。
皆さんも、ぜひ一度デスクの音色そのものを感じてみては如何でしょうか?


Hiro's Mixing & Mastering / http://www.hirotoshi-furuya.com/shop
(ミキシング・マスタリング、こちらからご依頼ください。)
Official Website / http://www.hirotoshi-furuya.com
(お仕事のご依頼や、機材のお問い合わせは、オフィシャルサイトよりお願いします。)
Official Facebook Page / https://www.facebook.com/hirotoshifuruya.official/
Radio Personality『マエストロ古屋博敏のサウンド物語』/ http://mookmookradio.com/a0004/
(ご質問、ご相談などコメントから投稿下さい。番組内でお答えします。)

コメント

このブログの人気の投稿

日本で230vの運用について

電源において200vは簡単に引くことのできる国内ですが、ヨーロッパ製が大多数を占めるスタジオ機材においては230vがメインのため、電圧が足りない状況に陥ります。故に200vを減圧して115vで使用するケースが殆どと言え、この200vをなんとかして230vで運用してみたいと思った方は多いはずです。 もっとも僕もその一人で、アメリカで聴くサウンドとヨーロッパで聴くサウンドの違いというものは、双方の国に行くたびに感じていたことでした。勿論考え方が根本的に異なる両者ですので、違いが出て当然なのですが、機材の違いでもなく録られる音質の違いでもなく、何か本当に根っこの部分でヨーロッパとアメリカの違いというものを感じていました。僕も手っ取り早いので、115vは直ぐ様導入して100vとは異なる音質を手に入れることはできていました。 ここで電源やケーブル、タップ類の話になる前提として、絶対的に根本的な考え方が根底で出来ていること、そして自らの耳を常に疑われる、非常にレベルの高いクライアントたちから、ガンガンにクレームを言われながら鍛え上げられている柔軟な感性を持ち合わせていること、そして世界中の新曲に触れる機会に恵まれていることが絶対条件になります。自で 『 自分の作る音ならば間違いない、俺の価値観は絶対だ』 と思ったり考えているのであれば、その人は決して上に突き抜けることはありません。その考え方で、どうにかなってしまうクライアントしか仕事を受けられないからです。最高レベルに行き着くこともなく、成長はそこで止まります。適正な報酬、最高レベルでの感性と技術を売り込めば、それなりに自らの感性にも技術にも自信のあるクライアントからオファーを貰うことになります。そしてガチンコで意見を出し合いながら音を構築していくわけで、その場では必ず意見の衝突が起きます。その衝突を糧としながら、自らの感性や視野を育てていくことになり、そうしたクライアントと年に10人も出逢えばかなり揉まれます。自らの価値観など無に等しいくらいに否定され、揉みに揉まれて最後に残った価値観こそが自らのものとして最終的に残ることになるでしょう。また痛いのは、海外からのオーダーで、言語が全くわからない曲があったりします。例えばドイツ語やイタリア語、スロバキア語やウルド語(インド・パキスタン周辺の公用語・・・なのかな)が用いら...

elysia / xpressor, nvelope, xfiter, karakter レビュー

elysia導入。その① 近年の音楽制作において、様々な模索をし膨大な時間と労力をスタジオワークに注いできた。演奏家として自らのスタイルを確立していく中で、追い求めるサウンドの理想はしっかりと見えていながら、中々先行きの見えない手探り状態が長く続いた。その理由の一つとして、自らが求めるサウンド感が日本国内には存在していなかったこと、そしてその実現に向けて世界に目を向けたところで、膨大な量の情報が集まる中での模索は困難を極めた。 『著名な欧米人エンジニアに仕事を頼んだが、自らのプロフィール写真はアウトボードばかり写っているが、実際のところはプラグインが相当量使用されていた。』 などの情報も混在し、メジャーどころのプラグインは一通り試してみた。しかし一聴すると良いと思えるものも、突き詰めれば突き詰めるほどに、またハイレゾリューション・オーディオを意識したサウンド感を生み出そうとすればするほど、必ずと言って良いほど、完成した音源は破綻をきたしていた。滑らかに曲線を描くはずであった弦楽器の音色は、デジタル処理されたプラグインにスポイルされ立体感を失い、幾通りにも重ねられたプラグインは、拘りこそ感じられるが最終的な理想とする仕上がりには程遠い。一体何がこうさせているのかを模索しても、デジタル処理の限界を超えられることはなく、特に奥行きと幅を求められるアコースティック楽器を主流とした音作りには工面させられた。何百時間、何千時間とスタジオで音色を求めようとも、回答は結局のところ得られなかった。 しかし、転機が驚くところで与えられた。 文化庁からの招聘で、学校コンサートを依頼された折、校歌を歌って欲しいとのことでCDを渡された。 『ICレコーダーか何かで録ったのかな・・・』 という程度に受け止めていたが、仕事に向かう道中カーステレオから流れてきたその校歌に驚かされた。内容としてはシンセサイザーの打ち込みとコーラスで構成されていたが、明らかに幅と奥行きが存在していた。自らが持ち合わせていた先入観に等しい、『学校の校歌にそこまでの予算をかけることはないだろう』という考えがサウンド側から覆され、校歌というシンプルな音楽の上に立った時、それがコンソール経由で制作されたことがクレジットからも読み取れ、またその校歌自体はSSLやNeveほど高価なコンソールを使用していない...

SPL Channel One Mk3レビュー

以前にデモ動画を担当させて頂いた、 Channel One Mk3 について触れてみたいと思います。この動画は国際エンドーサーのデモとしてSPLの本国でも採用されているのですが、サクッと撮影してしまいましたので、画角など課題も多いですが、アマチュア感溢れる動画にどうかお優しい目線で見て頂けると幸いです。 さて、この機材としての所感として、孤高で最先端を行くSPLならではということで、先ずは非常に多彩であることは動画の通りです。真空管のOn/Offまで盛り込まれており、チャンネルストリップとしては限界とも言える機能の盛り込み方で、元々多彩なSPLの機材の臨界点を見たような気分です(笑)。各機能については、マニュアルと動画を併せ持たせて理解を進めて頂ければと思うのですが、恐らくは皆様何と言ってもこの機材の音に対しての所感を書いて欲しいところかと思います。 先ずChannel One Mk3は、120vが採用されていないというところが最も大きい特徴かと思います。120vの搭載/非搭載は、SPL社が『この機材をこういう音にしよう』という前提がかなり色濃く出るところでして、120vが採用されている機材は、良い意味でも悪い意味でもスーパークリーン、限界を超えるようなHi-Fiを求める方は是非120vを積んだ機材へ行っていただきたいと思います。それに比べ、120vモジュールを積んでいない機材に関しては、SPLならではのクリーンさと共に『かっちり感』『固まり感』というものが全面的に押し出されている感じがします。ここは本当に使い分けだと思いますので、理想は120vを積んでいるスーパークリーンの代名詞であり限界値とも言える Crecendo と、120vを積んでいない今回のChannel One Mk3双方に持ち合わせていることが楽曲制作により華を持たせてくれるかと思います。 今までの作品でも僕の場合は、この辺りの音色感で使う機材を決めていたというところがあります。 例えば、ジョン・キャペックを迎えて制作したエルトン・ジョンのYour Songを、エルトン・ジョンのドラマーとしても著名なチャック・サボを迎えて、実際にドラムを叩いてもらった作品があります。この時僕が使用したドラム向けのサミングミキサーは、 Mix Dream を使用しており、このMix Dreamには120vは採...