スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

2016の投稿を表示しています

Solid State Logic XL-DESK with elysia レビュー

erysia導入。その② 前回のレビューより、大分時間が経過してしまった。 経過してしまったというよりは、スタジオが本格稼働するにあたり、関連機材の導入からセッティング、そして実際に音を出して、クライアントや僕自身の要求に即座に応えて貰うために必要な期間であった。色々と熟慮したが、elysiaの全ての機材はSSL XL-DESKのスロットにセットアップして使用することとした。XL-DESKは、SSL最新の機材ということもあり、近年のHi-Fiなハイサンプリングレートのサウンドを作り上げる意味では、正に適材と言える。バークリー音楽大学には、Dualityが存在しており、レコーディングセッションの課題が出た折には自由に使うことも出来る。日本国内に最も導入されている4000シリーズもさることながら、Dualityに至っても設計思想の古さを感じざるを得ないと再確認させられる。SSL標準搭載であるG-Compressorは、本国イギリスであろうとアメリカであろうと、今も神話的な扱いを受けているが、僕にはどうしても思想の古さを感じさせる。それは、チャンネルストリップのEQであれCompressorであれ、兎に角世界で現在最新とされる音源を制作するには、余り向いていないと肌身で感じるようになった。近年のHi-Fiと表現される世界のスタンダードは、単純に言えば楽器そのものの音色をダイレクトにレコーディングし、倍音から異音に至るまで、音色をそのままの状態で如何にクリアな形でパッキング出来るかが問われているように思える。バークリーのお陰で、アメリカ・イギリスは勿論、最近ではドイツやオーストリア、スウェーデンなどのスタジオとも付き合いが出始めた。彼らから送られてくる参考音源や、Facebook上で情報交換を行ううちに、彼らの作る音色は全く別次元にあること、加えて最近ではマスタリングスタジオが機材のメーカーとして販売までを手掛けるようになり始めた。欧米のエンジニア達は、基本スタンスが日本とは全く異なる。自らが演奏家であることが殆どであり、プロとして音楽経験のない者がレコーディングセッションを纏めることは余りない。自ら演奏をするのだから、楽器の音は最も身近な形で知っているだろうし、その後のレコーディングされた楽曲をミックスやマスタリングで纏めていくにしても、演奏している楽器の

elysia / xpressor, nvelope, xfiter, karakter レビュー

elysia導入。その① 近年の音楽制作において、様々な模索をし膨大な時間と労力をスタジオワークに注いできた。演奏家として自らのスタイルを確立していく中で、追い求めるサウンドの理想はしっかりと見えていながら、中々先行きの見えない手探り状態が長く続いた。その理由の一つとして、自らが求めるサウンド感が日本国内には存在していなかったこと、そしてその実現に向けて世界に目を向けたところで、膨大な量の情報が集まる中での模索は困難を極めた。 『著名な欧米人エンジニアに仕事を頼んだが、自らのプロフィール写真はアウトボードばかり写っているが、実際のところはプラグインが相当量使用されていた。』 などの情報も混在し、メジャーどころのプラグインは一通り試してみた。しかし一聴すると良いと思えるものも、突き詰めれば突き詰めるほどに、またハイレゾリューション・オーディオを意識したサウンド感を生み出そうとすればするほど、必ずと言って良いほど、完成した音源は破綻をきたしていた。滑らかに曲線を描くはずであった弦楽器の音色は、デジタル処理されたプラグインにスポイルされ立体感を失い、幾通りにも重ねられたプラグインは、拘りこそ感じられるが最終的な理想とする仕上がりには程遠い。一体何がこうさせているのかを模索しても、デジタル処理の限界を超えられることはなく、特に奥行きと幅を求められるアコースティック楽器を主流とした音作りには工面させられた。何百時間、何千時間とスタジオで音色を求めようとも、回答は結局のところ得られなかった。 しかし、転機が驚くところで与えられた。 文化庁からの招聘で、学校コンサートを依頼された折、校歌を歌って欲しいとのことでCDを渡された。 『ICレコーダーか何かで録ったのかな・・・』 という程度に受け止めていたが、仕事に向かう道中カーステレオから流れてきたその校歌に驚かされた。内容としてはシンセサイザーの打ち込みとコーラスで構成されていたが、明らかに幅と奥行きが存在していた。自らが持ち合わせていた先入観に等しい、『学校の校歌にそこまでの予算をかけることはないだろう』という考えがサウンド側から覆され、校歌というシンプルな音楽の上に立った時、それがコンソール経由で制作されたことがクレジットからも読み取れ、またその校歌自体はSSLやNeveほど高価なコンソールを使用していない