スキップしてメイン コンテンツに移動

SPL マスタリングコンソールと共にルーターを発表。


SPLの快進撃が止まりません。
マスタリングコンソールであるDMCを発表した折には、その構想自体を1年前には聞かされており、そして昨年の11月には実機を触る機会も与えられました。その折に思ったことは、新しい機能は追加されているけれども、これであればMaselecの方が上であると感じました。唯一勝るとすればSPLの音でしょうが、幾重にも機材を使い分けるマスタリングエンジニアたちに、音だけで勝負するのは難しいのではないかな・・・などと感じたものです。欲しい機能は圧倒的にMaselecにインストールされており、特に機材を繋ぐことで発生する、位相を最小限に抑えるインサート機能は魅力的です。他にもフィルターや、音量バランスを整える機能も充実しており、流石に世界を制覇しただけのことはあると、逆にMaselecの存在を大きく感じてしまったものです(エンドーサーがこれじゃ駄目ですね(笑))。
が、しかし、今回のルーターの発表で、SPLの考えるマスタリングコンソールの全体像が映し出されたわけで、これは世界のどのメーカーも、これに勝る機材を発表することは、ほぼ不可能になったと言えるでしょう。音は勿論、機能においても優位性が圧倒的すぎて、たった1人で出来レースを戦っている様相を呈してきました。
ビデオマニアルがあるので、御覧ください。

https://www.facebook.com/spl.info/videos/2738724099486920/?__xts__[0]=68.ARBtOng0--0z3EOe-iEaD6L5IZP6Uk_d5KYV4EENwTMaL9cli3mdXvBC1fBS0-NN28SXV9LD8jHUNnEX8F0BjfeXAyXXqPNC9XhpEi4SH8Le5JVdeQAZqfiGP_Yi3bb8TiRn_cLaCidact6YBMFUb3H2yIPOVCb3KyHCfN9S5EggatgDYdKlLyuzX56ovWApxpN5tq7BEtrWIzXZOfWC3_x12n3udsQXPlAF-xw&__tn__=H-R


デジタル・ルーターの構想は、昨年マスタリング・コンソールを触らせてもらった折に聞いていましたが、本当にこんな事ができるのか?と思えるほどに複雑な回路のはずです。通常は1対1で纏め上げてしまえば簡単なはずですが、こうなるとよくぞ2Uにまとめたものだと感心します。その上120vテクノロジーを用いているわけですから、DMCと組ませて完全なる、王者になるための機材をリリースしてきたと言えるかと思います。
既に、プロダクトマネージャーのサーシャには、この件は前々から僕の機材はファーストロットでオーダーできる話し合いになっていましたが、生産が間に合うんでしょうか・・・
本当に凄い。先日導入したCrescendoで感じた事に並行しますが、SPLは2015年に始まったIronの流れを一回断ち切り、再度音色づくりをしてきています。PQのそれともまた異なり、次世代の更なる先を見据えてチューニングをしてきているように思えます。 
機材を選ぶことからしても、そのエンジニアのセンスになるわけですが、これだけのコンソールをリリースしてきたとなれば、先端の考え方を持つ世界中のエンジニアたちはこぞって用いることは間違いありません。
実際にエンドーサー仲間や、その他日本人アーティストも手がけているアメリカの友人たちもFacebookでコメントしており、その導入の意図を明確に示しています。
音がCrescendoの延長だとすると、正にモンスター、とんでもない音をここで纏め上げることになります。しかも150dBものダイナミックレンジを持ち合わせており、一体どんな音に仕上がるのか想像できません。
それと同時に、これも国内のマスタリングに一石を投じる機能と言えますが、SPLのマスタリング・コンソールを用いれば、意図も簡単に音圧は上げられます。 Rec Gainを20dBも上げれば、極限の音圧を作り上げることは可能です。BettermakerのLimiterもしかり。。。
でもこれらの機能は、単に音をデカくするためのツールなのでしょうか?
確かに最近のトレンドとしては、相変わらず音圧競争というのは無くならない傾向にあります。どのエンジニアも、そしてプロデューサー、アーティストたちも音圧を求めているように思えます。そういう意味で言えば、音圧を上げようが、無理なくナチュラルに聴かせるということに焦点が移りつつあるように思えます。これはかなり難しいことで、プラグインでは100%不可能な領域です。しかし、これも120vテクノロジーを用いれば難しくないでしょう。
しかし、マスタリングって、これだけ単細胞な形で仕上げてしまって良いのでしょうか?
その回答の一つが、先日導入したBettermaker Mastering EQでした。ああいった音自体の世界観に変化を与え、更に色付けを明確に可能とする機材というものを、SPLのコンソールで纏めたらどうなのでしょうか?単なる音圧競争では済まされない、またナチュラルな音圧以上の世界観を作り上げることが可能なのであり、その可能性を引き出すのもエンジニア側の裁量であり才能でもあります。
僕が思うに、国内ではもっともっと音作りを行うエンジニアたちには、美的センスと感性というものを磨き、ヨーロッパの社交界に出ても恥ずかしくないほどの品性を養うべきではないかと思えてしまいます。
音圧以上の素敵なサウンドは、そうした精神姿勢、そして自らが持ち合わせる背景から価値観が構築されるため、もっと奥深いところからの見直しが必要ではないかと思えてしまいます。日本国内で思われている以上に世界は進んでおり、そして想像以上に高度な技術や感性が用いられています。それを進んで知ろうとしなければ、決して開くことはないドアですが、望めば必ず開かれるということを、僕自身が身を持って知っています。
興味のある皆さんと、こういう情報を共有できることを非常に喜びに思っています。勇気を持って、是非飛び込んできてください。きっと鍵は開けられます。そして、鍵の向こうに見える世界というのは、天井なしの素晴らしい景色が見えるはずです。
お待ちしています。

Hiro's Mixing & Mastering / http://www.hirotoshi-furuya.com/shop
(ミキシング・マスタリング、こちらからご依頼ください。)
Official Website / http://www.hirotoshi-furuya.com
(お仕事のご依頼や、機材のお問い合わせは、オフィシャルサイトよりお願いします。)
Official Facebook Page / https://www.facebook.com/hiros.mixing.and.mastering/

コメント

このブログの人気の投稿

日本で230vの運用について

電源において200vは簡単に引くことのできる国内ですが、ヨーロッパ製が大多数を占めるスタジオ機材においては230vがメインのため、電圧が足りない状況に陥ります。故に200vを減圧して115vで使用するケースが殆どと言え、この200vをなんとかして230vで運用してみたいと思った方は多いはずです。 もっとも僕もその一人で、アメリカで聴くサウンドとヨーロッパで聴くサウンドの違いというものは、双方の国に行くたびに感じていたことでした。勿論考え方が根本的に異なる両者ですので、違いが出て当然なのですが、機材の違いでもなく録られる音質の違いでもなく、何か本当に根っこの部分でヨーロッパとアメリカの違いというものを感じていました。僕も手っ取り早いので、115vは直ぐ様導入して100vとは異なる音質を手に入れることはできていました。 ここで電源やケーブル、タップ類の話になる前提として、絶対的に根本的な考え方が根底で出来ていること、そして自らの耳を常に疑われる、非常にレベルの高いクライアントたちから、ガンガンにクレームを言われながら鍛え上げられている柔軟な感性を持ち合わせていること、そして世界中の新曲に触れる機会に恵まれていることが絶対条件になります。自で 『 自分の作る音ならば間違いない、俺の価値観は絶対だ』 と思ったり考えているのであれば、その人は決して上に突き抜けることはありません。その考え方で、どうにかなってしまうクライアントしか仕事を受けられないからです。最高レベルに行き着くこともなく、成長はそこで止まります。適正な報酬、最高レベルでの感性と技術を売り込めば、それなりに自らの感性にも技術にも自信のあるクライアントからオファーを貰うことになります。そしてガチンコで意見を出し合いながら音を構築していくわけで、その場では必ず意見の衝突が起きます。その衝突を糧としながら、自らの感性や視野を育てていくことになり、そうしたクライアントと年に10人も出逢えばかなり揉まれます。自らの価値観など無に等しいくらいに否定され、揉みに揉まれて最後に残った価値観こそが自らのものとして最終的に残ることになるでしょう。また痛いのは、海外からのオーダーで、言語が全くわからない曲があったりします。例えばドイツ語やイタリア語、スロバキア語やウルド語(インド・パキスタン周辺の公用語・・・なのかな)が用いら...

ミックス・マスタリングが上手くなりたければ、効きが強烈な機材を使え

  久しぶりに機材レビューではなく、音に対してのテクニック的なことを少し書いてみようと思います。最近聞こえてくる声として、 「古屋さんに影響されて、〇〇を買いました。」 或いは 「あの作品のあの音に憧れて、〇〇を買いました。」 というお言葉を頂きます。自分としては世界一の機材だと思っているからSPLを使っていますし、会社で代理店のライセンスも持っています。なので、皆様からのお声は心から喜ばしいことですし、全責任を持って間違いのない世界一の機材を購入して頂いていると思っています。これは自分の日々発言していることと行っていること、望んでいることとその結果によって良い影響を多方に渡って与えられていることは、全ての要素が一つの方向を向いて整合性が取れていると感じられ、大変喜ばしいことです。 では、SPLの何が世界一と言えるのか?或いは全く方向性は異なりますが、IGS Audioも一体何がそこまで魅力で、僕の会社で扱おうと思ったのか?色々と要素はありますが、端的に言えばそれは双方に非常に効きが強烈で、楽音を一発で別物に変化させてしまうパワーを持っている激しい変化率です。世界の激しい潮流で戦う僕としては、この強烈な狂気とも呼べるような音の変化が無ければ戦いようがありません。ちょこちょこっと、すこーしだけの変化で変わったのかなぁ・・・・みたいな楽音構成で勝負していては、絶対に世界で選ばれることはありません。これは断言できます。マスタリングであれば、特に劇的な変化をほぼ100%求められます。なので、どう扱ったら良いのかわからないくらいの激しい変化を持つ機材を手なずけ、自分の想像している楽音を遥かに超えるような機材に触れないと、激しい結果をもたらすことのできる自らの創造力がそもそも育ちません。可能性があれば何処までも追求したくなるのが人間で、やれるだけやり、行き付けるところの限界まで追い込んで、追い込み、更に追い込んで・・・・とやると失敗することも多々あります(笑)。 ただ、この徹底して追い込むというものが極限の極限まで行くと、そこから幾分か差し引くことも上手くなるようになります。いわゆるそれを調整と呼ぶのでしょうが、その調整できるところまでは、とにかく極限の追い込みこそが上達します。追い込みすぎてその国でスーパースターと呼ばれるアーティストにクビになったことも多々ありました...

SPL Channel One Mk3レビュー

以前にデモ動画を担当させて頂いた、 Channel One Mk3 について触れてみたいと思います。この動画は国際エンドーサーのデモとしてSPLの本国でも採用されているのですが、サクッと撮影してしまいましたので、画角など課題も多いですが、アマチュア感溢れる動画にどうかお優しい目線で見て頂けると幸いです。 さて、この機材としての所感として、孤高で最先端を行くSPLならではということで、先ずは非常に多彩であることは動画の通りです。真空管のOn/Offまで盛り込まれており、チャンネルストリップとしては限界とも言える機能の盛り込み方で、元々多彩なSPLの機材の臨界点を見たような気分です(笑)。各機能については、マニュアルと動画を併せ持たせて理解を進めて頂ければと思うのですが、恐らくは皆様何と言ってもこの機材の音に対しての所感を書いて欲しいところかと思います。 先ずChannel One Mk3は、120vが採用されていないというところが最も大きい特徴かと思います。120vの搭載/非搭載は、SPL社が『この機材をこういう音にしよう』という前提がかなり色濃く出るところでして、120vが採用されている機材は、良い意味でも悪い意味でもスーパークリーン、限界を超えるようなHi-Fiを求める方は是非120vを積んだ機材へ行っていただきたいと思います。それに比べ、120vモジュールを積んでいない機材に関しては、SPLならではのクリーンさと共に『かっちり感』『固まり感』というものが全面的に押し出されている感じがします。ここは本当に使い分けだと思いますので、理想は120vを積んでいるスーパークリーンの代名詞であり限界値とも言える Crecendo と、120vを積んでいない今回のChannel One Mk3双方に持ち合わせていることが楽曲制作により華を持たせてくれるかと思います。 今までの作品でも僕の場合は、この辺りの音色感で使う機材を決めていたというところがあります。 例えば、ジョン・キャペックを迎えて制作したエルトン・ジョンのYour Songを、エルトン・ジョンのドラマーとしても著名なチャック・サボを迎えて、実際にドラムを叩いてもらった作品があります。この時僕が使用したドラム向けのサミングミキサーは、 Mix Dream を使用しており、このMix Dreamには120vは採...