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更なる新たな時代へ突入したことを証明した SPL Venos

 


皆様こんにちは。

マイペースで公開しておりますブログですが、意外と皆様からお読み頂きご参考にして頂いているというお声を頂戴しており、非常に励みになっております。これからも『これぞ』という内容を見つけられた折には、文章として残していきたいと思っております。

さて、SPLからまさに新世代という言葉に相応しいVenosが発売となりました。国内でも状況が整い次第HPが公開されると思いますが、その前に自分からもSPLのプロダクトスペシャリスト、フランスのシャビエルから共有されていることも踏まえながら日本の皆さんに情報共有をさせて頂ければと思います。

まず個人的な感想としては、2015年あたりをピークに各メーカーからマスタリグ機材を筆頭とする大型リリースが大分縮小したと思っていました。10年前にSPLが仕掛けた120vテクノロジーを前面に打ち出したマスタリング・チェインが一世を風靡し、他社が入り込めないほどに著名スタジオへの導入が進んだことで一定のネタが各メーカーから出尽くして、次の一手を如何に打つのかが腕の見せ所となっていましたが、王者SPLが遂に動いてきたという印象を持たせるのがVenosです。

Venosを一聴きして感じたものとしては、前作のマスタリングコンプレッサーIRONを『超える』という考え方ではなく、『全く異なる機材』としてリリースしてきたところが流石かなと思っております。SPLのハーマン社長が元々はミキシングエンジニアで、そこからどういう経緯で機材の設計へと舵を切ったのかはよく知らないのですが、毎度彼のアイディア力と音のセンスというものは感服させられます。

Venosの世界へ深く入る前に以前のIRONを少し紐解いておきたいと思います。IRONはどちらかというと古来からのコンプレッサーという概念を持ち合わせておらず、むしろコンプレッサーを通して『音の立体感』において圧倒的なアドバンテージで勝負し、それまでのコンプレッサーの概念そのものを覆してしまうほどの名機でした。それは10年以上経過した現在も全く色褪せなく、IRONはIRONでしか出せない他を圧倒するダントツのオンリーワンとしてのサウンドを形成しており、IRONに代わる機材は今後も出てこないのではないかと思っております。つまりはコンプレッサーの金字塔を打ち立てたということでしょう。

こんな背景がある中、Venosのエンドーサー・代理店向けにアナウンスがなされた折には、『どういう所で新機材として勝負するのか』というある意味の難しさを感じさせるものでもありました。何でもそうですが、一番の実績値を上げられた時ほど次の一手が難しいものです。また、前作から10年という歳月が流れている間には、音楽産業自身の出尽くし感、疲労感というものもあり、さあ、どうするのか・・・というところであったことは間違いなさそうです。

しかしそんな心配をよそに、見事にVenosで次の一手で大成功間違いなしの機材をリリースしてきたと言えそうです。エンドーサーたちもこの10年で相当なビッグネームが並び、以前からFacebookで親交があった著名人たちの顔が並びます。



出演されているメンバー全員が熱心にVenosのことを語ってらっしゃいますが、特に印象深いのがルーカ・プレトレイジーで、その昔彼が DANGEROUS MUSIC を中心にチェインを組んでいた折、『SPL最高だから使ってみて』ということをFacebookのチャットでやり取りしたことがあったのですが、見事に今回彼がSPLのチームに入っていたことは嬉しいばかりです。

さて、背景ばかりでなくサウンドの方へVenosの話を持っていきましょう。

Venosは今回ズバリのステレオコンプレッサーとして設計されてきました。2000年以降ずっと世界中の機材やプラグインに用いられてきているM/Sも今回の設計では不可能で、そういう意味では本当にド直球の機材です。ただ随所にSPLならではの思想がちりばめられており、コンプレッションをかける折の素材を変えられる Rectifier 機能が装備されているところはIRONから継承してきているところでもありますが、今回の目玉として声を大にしたいのは Modes 機能で、Linear/Modern/Vintage/Focus/Punch/Ext SCと、フィルターを用いながらバンドコンプレッサーのプリセットを更に現代風に進化させたような使い方ができる機能を持ち合わせているところです。一見この世界に入りたての方でも、直ぐに一定の音が出せてしまうような錯覚を持ったのですが、そこは多機能なSPLらしくベテランが Rectifier や Attac/Releaseを使い分けながら絶妙に調整して行くことで、更に次元の異なる最先端のサウンドを作ることができるのではないかと感じています。(新しくこの世界に入ってくる方にとっては、ベテランエンジニアの音の一部は機材を手にすれば直ぐに出せてしまう便利さも持ち合わせています)

また Thresholdはもちろんなのですが、Bias機能として真空管の成分を付加することもできたりと、これ一台で現代版バスコンプレッサーは間違いなく完成すると言っても良いほどの高い仕上がりを見せています。

実際に音を聴いてみても、これまで相当なチェインを幾つも重ねて作っていたようなことが、これ1台で出来上がってしまっており、次世代型の万能機というイメージも持ちます。




以前の僕ならば、Venos1台の機能で出来ることを実現させるために、例えばそうですね・・・まずは SPL PASSEQを挿して、Drawmerのバンドコンプレッサーを足すことで、帯域を整えることとパンチーな雰囲気を醸し出しながら、ちょっとイギリスらしいアナログ感を消したいのでelysia Mpressorのラック版でソリッドに全体を整えてから、IGS Audio Tubecoreラック版で濃密で真空管の温かみを演出したのではないかな・・・そんな想像すらついてしまいます。

10年前まで遡らなくても、2020年頃を想像しただけでも以上のチェインは組まなければ実現できないはずのサウンドが、Venos1台で完成できるというのはここへ来て大きな進歩だと感じています。少し大げさですが、人類が到達できるサウンドメイクの一定レベルというものを大きく引き上げたのが今回のVenosという作品と定義しても、決して言い過ぎだとは思えない仕上がりです。



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